日記

趣旨をご理解の上ご協力ください

2009年12月17日 20:24

子供が小学校からもらってくるプリント類に書かれている文章が、相変わらず難解だ。文法に則っていない、学校関係者にしか通じない単語を説明なく使うなんてのは当たり前。読者(保護者)がどう受け取るかなんてことはまったく考慮されていないのではないかと不安になるものばかりだ。

今日も、不思議なプリントを持ち帰ってきた。

平成21年12月17日
保護者 各位
木更津市立第二小学校
校長 若林 勲
学校評価に関するアンケート調査協力のお願い

 時下、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。日頃より本校の教育に関し、ご支援・ご協力いただいておりますことに感謝申し上げます。
 さて、木更津市教育委員会では、以下の考えのもと『学校評価「木更津システム」ガイドライン』をまとめ、各学校でアンケートを実施しております。

基本的な考え 

 (1) 児童生徒の変容を学校評価の基盤に据える。(3)
 (2) 学校評価のPRDCAサイクルを明確にする。(4)
 (3) 学校評価に客観性を持たせる。

 本校では、市内共通の評価項目についてアンケートを実施します。アンケートの対象は、児童(3年生以上)・保護者・教職員です。(1)そのアンケートの結果から成果と課題を確認し、次の目標設定をして課題の解決を図り、教育の質の向上を目指していきたいと考えています。
 つきましては、趣旨をご理解の上(2)、アンケートにご協力いただきますようお願いいたします。アンケートは、裏面に印刷してあります。
 各設問にお答えいただき、12月22日(火)までに、お子様を通じて提出してくださるようお願いいたします。
 なお、本調査結果は統計処理のみに使用し、個人が特定されたり、個人的な不利益や迷惑がかかることは一切ありませんので申し添えます。

※「12月22日(火)までに」部分の太字下線は原文ママ。
※それ以外の下線+番号は筆者注記。

パッと見て、文章を流し読みしてしまった方は、そのまま裏面のアンケートに進んだのだろう。残念ながら、私には流し読みできなかった。

まず最初にひっかかったのは、下線部分(1)「アンケートの対象は、児童(3年生以上)・保護者・教職員です。」の部分だった。うちの子供は1年生。3年生以上が対象だったら関係ないんじゃないの?と、思ってしまったのだ。ただ、これは誤読を招きやすい文章になっているだけで、間違いではない。このアンケートは保護者宛てであり、アンケート対象には保護者がちゃんと含まれている。有体に言えば、文章が下手なので間違って受け取ってしまったという話だ。

誤読を招きやすい文章であることがわかったため、慎重に読み直した。すると今度は下線部分(2)「趣旨をご理解の上」で目が留まった。当然のことだが、アンケートには趣旨がある。趣旨を理解し、協力の意思をもって回答すべきだ。それ自体は私も同意見。ではさっそく趣旨を理解しよう…としたところでこれが実にもって理解に苦しむ内容だったのである。

基本的な考えを見れば、下線部分(3)「児童生徒の変容を学校評価の基盤に据える。」とある。つまり、学校が何をしたかということから一歩踏み込み、その結果として児童生徒がどのように変わったか、きちんと成果が出ているのかを調べ、評価の基準にするということだろう。先生の独りよがりではなく成果を見て判断しようというのは、少なくとも個人的には好ましい姿勢だ。ただ、ここで「児童生徒の成長」としなかったのはなぜなのか? それが非常に気になった。「成長」という軸を押し付け、子供が伸びていく方向をひとつに決め付けるのはよくないということなのだろうか。そうだとしても、あまりに一般的ではない単語のような気がする。

一般的な単語で書いてもらいたいなーと思いつつ次の行を見て、今度は頭を抱えてしまった。下線部分(4)「学校評価のPRDCAサイクルを明確にする。」である。「PRDCAサイクル」を明確にする前に、「PRDCAサイクルとは何か」を明確にしてもらいたい。Plan(計画し)、Do(実行し)、Check(評価し)、Action(対策を行なう)というPDCAサイクルなら頻繁に耳にする。PRDCAは聞いたことがない。最近は企業統制の話題も多く業務改善などに関わる単語も普段から耳にする俺がわからないくらいなら、他の方もわからないのではないだろうか。こんな単語を説明もなく提示している時点で、趣旨を理解してもらおうとしているとはとうてい思えない。「趣旨をご理解の上」などと表面上では書いてあるが、本心ではどんなことをしているか知られたくないのだろう。後ろめたい人々の常套手段だ。

さて、小学校の、というよりこの文章を用意したであろう木更津市教育委員会の腹黒さばかりをののしっていても理解にはつながらない。せっかく、IT機器がふんだんに用意された家庭にいるのだから、わからない単語はすぐに調べるのだ。

と、意気込んで「PRDCAサイクル」について調べたものの、Yahoo!の検索結果もGoogleの検索結果もひどいものだった。いずれも、『学校評価「木更津システム」』に関する文書しか発見できなかったのだ。検索結果に出てきたのはkisarazu.lg.jp(木更津市)ドメインのページと、kisarazu.edu.jp(木更津市教育委員会)のページのみ(注1)。1枚だけ、PDFで公開された文書内に「(計画:Plan→調査:R e search→実施:Do→評価:Check→改善:Act)」という記述を発見したが、それ以外のページでは説明もなく「PRDCAサイクル」と使われている。オンラインに公開されている膨大な文書の中に同じものが発見できないような表記を説明なく使うのは、独りよがりと言って差し障りないのではないだろうか。少なくとも、理解を得る意思がないことは理解できた。

さて、趣旨を理解した上でアンケートに協力しろというのがこの文章の本旨だ。が、理解を拒絶するこの文章を見て、この取り組みに理解を示すなんてことは俺にはできない。そのままアンケートに回答したら「趣旨を理解せずにアンケートに協力した」ことになり、このプリントに反した行動を取ることになってしまう。あえてプリントの本旨を無視した行動を取るのもなんだかおかしな話なので、回答せずにここにこうしてメモを残した次第。

注1
「PRDCAサイクル」では木更津システムしかヒットしなかったので、「PRDCA」でも検索した。出てきたのは、Panasonic R & D Company of America。今のところ、PRDCAの検索結果はパナソニックと木更津市の寡占状態だ。

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