日記

「ないです」はありません

2008年11月 7日 00:27

昨日と同じようなことなんだけど、「すごい」と並んで気になる表現がある。タイトルを見てお分かりかと思うが、「ないです」だ。これは、文法上正しい日本語とは言いがたい(※1)。正しくは、「ありません」を使うべきだ。

「です」を使うような丁寧な表現においては、否定を断定的に表現することは避けるのが、日本語が従来持っていた奥ゆかしさだ。「ない」と直接伝えるのではなく、「在る」を打ち消すことで「不在」を伝えるのだ。

文法的に誤りであることを理解いただくには、次の説明がいいかもしれない。

「です」は、断定などを示す終助詞「だ」の丁寧表現。「○○だ」を丁寧に伝えたいときに「○○です」と使う。逆に言うなら、「○○です」は、丁寧ではない状態「○○だ」に言い換えることが可能だ。

正しい例)
(常体)これはペンだ。→(敬体)これはペンです。
(敬体)今日はいい天気です。→(常体)今日はいい天気だ。

この法則を「ないです」を含む文に適用すると、次のようになる。

ないですの例)
(敬体)ここにペンはないです。→(常体)ここにペンはないだ。

明らかにおかしいでしょう。
※方言でこのように言うという方もいらっしゃるかもしれませんが、言文一致の問題に戻るのでスルーします。

では、なぜ「ないです」はここまで市民権を得たのか。その背景には、日本人の気性の変化があるのだと私は思う。私を含め、最近の日本人に奥ゆかしさがなくなり、否定を婉曲的に伝える必要性を感じないのだろう。これにおいても、口語ならいいかなと私も思う。相手に対して断定的に否定を伝えても、前後の会話や表情などから悪意のないことを感じ取れるからだ。しかし、文字だけでの一方的なコミュニケーションでは、やはり婉曲表現は有能な道具になり得る。みなさんも、次のふたつを見比べてみれば、理屈ではなく感覚的に理解していただけると思う。

質問に対して否定を伝える2例・その1)

Q.その他、ご要望があればご記入ください。

A.特にないです。

質問に対して否定を伝える2例・その2)

Q.その他、ご要望があればご記入ください。

A.特にありません。

おそらく、後者の方が品良く感じる方が多いだろう。せっかく丁寧な言葉遣いを心がけて「〜です、〜ます」を使うなら、もう1歩品良く見える文章にしておいた方がお得(笑)だと思うが、いかがだろうか?

※1:すでにかなり市民権を得ているので、正しい表現と認められるのは遠くないだろう。

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